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2015.05.15

労働保険料と年度更新について

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1. はじめに
間もなく従業員を雇用されている事業主の皆様のお手元に、労働保険の更新の封筒が届けられる時期となりました。そこで今回は労働保険の概要と年度更新について(英語版Labor Insurance)ご説明したいと思います。


『労働保険』という言葉は、どなたでも1度は耳にされた事があると思いますが、これは労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険の総称だという事をご存じの方は少ないかもしれません。この両保険の保険料と一般拠出金(石綿健康被害救済法に基づいたアスベストによる健康被害救済のための拠出金)を合わせたものが労働保険料です。


労災保険の対象となるのは常用、日雇、パート、アルバイトなど名称や雇用形態にかかわらず、原則労働の対償として賃金を受けるすべての人です。一方、雇用保険の対象となるのは1週間の所定労働時間が20時間以上である、雇用の見込みが31日以上ある、などのその他一定の条件を満たす人です。両保険に共通して、代表取締役や取締役、監査役などは『労働者』として取り扱われないため対象外となります(加入することができません)。


2.保険料率と保険料について
労災保険料率は事業の業種により異なり、
1000分の2.5から1000分の88の範囲です。保険料については全額事業主負担です。雇用保険料率は業種によって分かれるのは同様ですが、下記の通り3種類で保険料は事業主、労働者両方で負担します。しかしながらその負担割合は折半ではなく、事業主の負担が多くなっています。


また労災保険料については一定の範囲内で料率または料額を増減させる、いわゆるメリット制も設けられています。なお平成27年度の労災保険料率は4月1日より一部改訂される予定です。(雇用保険料率は変更ありません。)


3. 保険料算出の基礎となる『賃金総額』について
その年の4月1日から翌年の3月31日までを1年の単位とし、支払われた
賃金総額に保険料率を掛けて労働保険料を算出します。賃金総額とは事業主が労働者に支払うもの(賃金、手当、賞与その他名称を問わず労働の対償として支払うもの)の合計を指します。また金銭ではなく現物で支払う、いわゆる通勤定期券などについても対象となります。反対にお祝い金や弔慰金・お見舞金、退職金などは対象となりません。


4.労働保険料の年度更新
都道府県労働局から送付されてくる申告書を使用し、その前年度分の
確定保険料と当年度分の概算保険料を精算するという手続きを6月1日から7月10日の間におこなうことを年度更新と言います。


本年を例に取りますと平成26年4月1日から平成27年3月31日までの
賃金総額から確定保険料を算出、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの概算の賃金総額から概算保険料を算出し、平成27年6月1日から7月10日までに申告・納付することになります。


期日までに申告・納付を行わない場合、追徴金が課される可能性もあるので注意が必要です。納付方法については近年、口座振替が可能となり便利になりました。また条件を満たせば延納(3回に分けて納付)する事も可能です。


以上、労働保険料と年度更新の概要をご説明しましたが、ご不明な点などございましたら弊社までお気軽にご連絡下さい。


(参考文献)
厚生労働省HP : http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000067690.html
                      http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_6.htm


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