1. はじめに
今回は、2017年5月23日に株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社リクルートホールディングス、KNM Management Advisory Services Private Limited及び弊社の四社において開催しました、「インド進出セミナー」より、皆様の関心が多かったThe Goods and Services Tax (物品サービス税以下GST)につき、入門編と題しましてご紹介いたします。
2. 現行の取り扱い及び導入の背景
現在インドの税制が複雑、わかりづらいと言われているのは、主に間接税に関する取り扱いと考えられます。下記の図にあらわされる通り、単純に税目も多く、州によって税率が異なること等が要因となります。それに加え、各税目について、相殺・控除が可能か否かを検討する必要があることなどが、その取扱いを複雑としている要因となっています。
これらの複雑な間接税の取り扱いにより、進出をためらう企業が存在している事実や事業投資の意思決定が税金問題に大きく左右されている現状を打破すべく、いよいよ7月1日よりGSTの導入されることとなります。
3. GSTの特徴
現行、国税と州税からなる極めて複雑な間接税の制度が、GSTの導入によって以下の通り、一本化されることとなります。
インド最大の税制改革ともいわれるGSTですが、導入により期待される経済効果をいくつか見ていきます。
(a) 税務作業の簡略化
州をまたぐ取引を行う場合、あたかも他の国と取引を行うような煩雑性が存在していましたが、包括的な間接税であるGSTの導入により、複数の納税義務と規則が簡素化され、事業運用コストを引き下げることが期待されています。これにより消費者への価格を引き下げることも期待されています。
(b) インド全土が一つのマーケットとして成長
税制を前提とした拠点配置により、州をまたぐ取引が抑制されていましたが、GSTの導入により、かかるすべての税金が単一税制の中に組み入れられる為、州間の取引に係る障害がなくなり、インド市場の単一化による取引及び物流の活性化が期待されています。
(c) 中央販売税(CST)の廃止による製造・輸出事業者の拡大
GSTはインドからの輸出物品や、サービスには適用が行われないため、輸出を中心とした企業には有利となり、輸出事業者の拡大が期待されています。 また、現状費用となっていたCSTが廃止されることにより、今までコストとなっていた税金がなくなるため、より経営戦略にあった物流が可能となります。
しかしながら、導入による期待とは対照的に、体制の再構築、ITの導入等、実際に解決しなければならない問題点も存在しているのも事実であります。短期的には導入コストについて、企業が負担せざる負えない状況も考えられます。しかしながら、長期的に今後のインド市場を見ていく際には、税制が簡素化される結果、インドにおける事業運用が容易となり、ますます国外からの投資も増加してくると考えられます。
4. 終わりに
今回のニュースでは「インド間接税:GST-入門編」について取り上げました。いずれも現在導入に向けて話し合いが行われており、その取扱いについては未定な部分もございます。
なお、今回の解説も概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点がございましたら、お気軽に弊社までご相談ください。