1.はじめに
近年、アジア諸国が消費市場として急成長を進める中、海外進出を検討されている方も多いのではないでしょうか。アジア諸国といっても、進出国の選択、目的の明確化等、事前に検討すべき事項も多々存在しています。
今回は、そのような魅力的なアジア進出に関して、BRICsの一角として注目度が高いインドについて、2016年6月下旬に実施した海外出張をもとにご紹介します。
2.政治経済概況
● 国の基本情報
● インド市場の魅力
(a) 市場規模/成長性
現在、政府によって様々な政策が公表されており、主要地域の都市化及び地方都市の成長が挙げられています。近年、約7%の高度成長が続いており、経済の安定性が高いことも魅力です。また、今後アフリカ大陸等への拠点地としての国際都市化をはじめ、国内の中間所得層も拡大傾向にあり中国と並ぶ巨大市場として大いに期待されています。
(b) 人口構成「青年の国」
インドの人口は現在約12億人であり、世界第2位となっているが、2022年には中国を抜き世界最大の人口となることが予想されています。また、他の比較対象とされる国々と比べ、労働力となる若い人が多く、今後の成長を支える人口構成が特徴となっています。
(c) 言語「英語」
英語が準公用語となっており、国際ビジネスに携わっている人は、英語でのコミュニケーションが可能となっています。人件費が比較的安く英語が堪能という利点を生かしたビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)が挙げられます。さらには、現地で優秀な人材を採用することもできます。
● 懸念される事項
(a) 各種手続きの煩雑さ
許認可等の行政手続きにはじまり、税制も非常に複雑となっています。また、改正も頻繁にあり、現地での信頼できるパートナー探しが必要となってきます。
(b) インフラ整備
インフラ未整備に伴う進出コストの高さも懸念事項として挙げられています。具体的には、主要都市における交通渋滞により、貨物輸送にかかる時間が多大となっています。また、工業地帯における安定した電気供給等も、今後の課題として挙げられています。
3. 現地進出の検討
今後インド進出を検討するうえで、参考となる政策についてご紹介いたします。
● 日本企業専用工業団地
進出時のデメリットとして挙げられる、インフラの未整備を克服するため、日本政府が後援する日本企業向け工業団地も増加しています。現在ジェトロにおいてラジャスタン州ニムラナとギロット、グジャラート州マンダル、マハラシュトラ州スパの4カ所に日本企業向け工業団地を推進する等、日系企業が進出しやすい環境づくりも進められています。
● 日印社会保障協定
企業等から相手国に一時派遣される被用者(企業駐在員等)について,両国での年金制度への加入が義務付けられることによる、社会保険料の二重払いが問題視されることがあります。
今年10月1日に、日印社会保険協定が発効されることに伴い、一定の条件下のもと、年金保険料負担が軽減される等、両国間の人材交流が活性化させることが期待されています。
● 税制上の優遇措置
現在「メイク・イン・インディア」という国内外からの投資を促進するキャンペーンと関連し、進出時に享受可能な税制優遇措置がいくつか存在しています。
大きく分けて、1)地域に基づくもの、2)活動の内容に基づくもの及び3)投資額に基づくものがあげられます。それぞれに、対象要件はあるものの、10年間の法人税非課税措置(タックス・ホリデー)等、魅力的な税制優遇が存在しています。
● 間接税改正法案の成立に向けた動き
これまで投資の障害となっていた複雑な間接税を正すべく、物品・サービス税(GST)の導入に向け憲法改正案がインド議会において可決されました。2017年4月の導入を目指しており、今後、州議会の可決も必要となるが、実現した際には、州によって異なっていた税制及び税率が一本化され、州をまたぐ取引や小売業の活性化が大いに期待されています。
4.おわりに
今回は、「海外進出の検討-インド編」についてご説明しました。
なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。
(参考文献)
外務省ホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/india/data.html
日本貿易振興機構ホームページ
https://www.jetro.go.jp
インド 日本企業専用工業団地のご案内
https://www.jetro.go.jp/ext_images/theme/fdi/industrial-park/developer-material/pdf/201601/in_04.pdf
日本年金機構ホームページ
http://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/kyotei-gaiyou/20131220-04.html