1. はじめに
今回のニュースでは、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場における事業主の義務について、労働法関連の視点よりご紹介いたします。
今回のニュースでは、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場における事業主の義務について、労働法関連の視点よりご紹介いたします。
2. 衛生管理者の選任
常時 50 人以上の労働者を使用する事業場では、業種を問わず、 1 人以上の衛生管理者を選任する必要があります(労働安全衛生法第 12 条)。事業場の規模ごとに選任しなければならない衛生管理者の数は、表 1 のとおりです。 50 人以上の事業場が複数あるときは事業場ごとに選任し、選任報告書を所轄の労働基準監督署長に提出します。
常時 50 人以上の労働者を使用する事業場では、業種を問わず、 1 人以上の衛生管理者を選任する必要があります(労働安全衛生法第 12 条)。事業場の規模ごとに選任しなければならない衛生管理者の数は、表 1 のとおりです。 50 人以上の事業場が複数あるときは事業場ごとに選任し、選任報告書を所轄の労働基準監督署長に提出します。
衛生管理者には一定の資格が必要とされており、①衛生工学衛生管理者免許 ②第一種衛生管理者免許 ③第二種衛生管理者免許 ④医師・歯科医師 ⑤労働衛生コンサルタント等の資格保持者から選任しなくてはなりません。第二種衛生管理者免許保有者は、一定の屋外・工業的業種以外の事業場でのみ選任できます。
* 一定の屋外・工業的業種: 農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気・ガス・水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業
3. 産業医の選任
衛生管理者と同様に、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場では、業種を問わず、産業医を選任する必要があります(労働安全衛生法第 13条)。産業医についても選任報告書を所轄の労働基準監督署長に提出します。産業医は、労働衛生コンサルタント試験に合格した者など、一定の用件を備えた医師でなくてはなりません。
衛生管理者と同様に、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場では、業種を問わず、産業医を選任する必要があります(労働安全衛生法第 13条)。産業医についても選任報告書を所轄の労働基準監督署長に提出します。産業医は、労働衛生コンサルタント試験に合格した者など、一定の用件を備えた医師でなくてはなりません。
4. 衛生委員会の設置
事業者は常時 50 人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生に関することを調査審議し、事業者に意見を述べるため、衛生委員会を設置しなければなりません(労働安全衛生法第18条)。衛生委員会は毎月 1 回以上開催し、議事録は 3 年間保存する必要があります。衛生委員会は、議長・衛生管理者・産業医・当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者を含めたメンバーで構成されます。
事業者は常時 50 人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生に関することを調査審議し、事業者に意見を述べるため、衛生委員会を設置しなければなりません(労働安全衛生法第18条)。衛生委員会は毎月 1 回以上開催し、議事録は 3 年間保存する必要があります。衛生委員会は、議長・衛生管理者・産業医・当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者を含めたメンバーで構成されます。
5. 定期健康診断結果報告書の提出
常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、労働安全衛生法に基づく健康診断を実施し、遅滞なく、健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出する必要があります(労働安全衛生規則第 52 条)。事業者は、健康診断個人票を 5 年間保存しなければなりません。
6. ストレスチェックの実施
平成 27 年 12 月 1 日に労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が施行されました。常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、毎年 1 回の実施と労働基準監督署への報告が義務となります。
平成 27 年 12 月 1 日に労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が施行されました。常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、毎年 1 回の実施と労働基準監督署への報告が義務となります。
常時 50 名以上とは、契約日数・時間数に関わらず、継続して雇用し、使用している労働者をカウントします。継続雇用中である週 1 回程度のアルバイトやパート社員も含みます。ただし、ストレスチェック対象者となるのは一般定期健康診断の対象者と同様ですので、正社員の週所定労働時間の 4 分の 3 未満であるパート社員や休職している労働者に対しては実施しなくても差し支えありません。
ストレスチェック制度に関しては、厚生労働省による専用サイト(「こころの耳」http://kokoro.mhlw.go.jp/)が設けられています。
7. 障害者の雇用義務
国は、事業主に対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけています(障害者の雇用の促進等に関する法律)。障害者雇用率は、民間の一般企業では 2.0 %と定められており、常時 50 名以上の労働者を使用する事業者には、障害者 1 名の雇用義務があります。
国は、事業主に対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率)以上になるよう義務づけています(障害者の雇用の促進等に関する法律)。障害者雇用率は、民間の一般企業では 2.0 %と定められており、常時 50 名以上の労働者を使用する事業者には、障害者 1 名の雇用義務があります。
障害者の雇用率未達成の場合は、障害者雇用納付金を納付する必要があります。一方、法定雇用率を上回る場合は、障害者雇用調整金の支給申請ができます。ただし、常時雇用する労働者が 100 人以下の事業主には、納付金・調整金はいずれも適用されません。障害者を雇用する事業主は、従業員規模にかかわらず、毎年 6 月 1 日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告します。
8. 休養室の設置
常時 50 人以上または常時女性30人以上の労働者を使用する事業者は、「労働者が臥床(がしょう)することのできる休養室または休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない」と規定されています(事務所衛生基準規則第 21 条・労働安全衛生規則第618条)。これは、職場で急病人が発生した時に救急車が来るまで待機させたり、体調不良の社員を休ませたりするために、横たわって寝ることが出来るスペースを確保することを定めたものです。仕切られた個室空間や、ベッドや布団の設置までは求められていません。
常時 50 人以上または常時女性30人以上の労働者を使用する事業者は、「労働者が臥床(がしょう)することのできる休養室または休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない」と規定されています(事務所衛生基準規則第 21 条・労働安全衛生規則第618条)。これは、職場で急病人が発生した時に救急車が来るまで待機させたり、体調不良の社員を休ませたりするために、横たわって寝ることが出来るスペースを確保することを定めたものです。仕切られた個室空間や、ベッドや布団の設置までは求められていません。
9. 常時雇用される労働者とは
「常時雇用される労働者 50 人以上」には、繁忙期や閑散期ではない常態時で、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パートなど、雇用形態・所定労働時間の長短にかかわらず、事業場で働いている人すべてが含まれます。(昭和47年9月18日 基発第602号 通達)
「常時雇用される労働者 50 人以上」には、繁忙期や閑散期ではない常態時で、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パートなど、雇用形態・所定労働時間の長短にかかわらず、事業場で働いている人すべてが含まれます。(昭和47年9月18日 基発第602号 通達)
また、派遣社員については、派遣元 ・ 派遣先の双方での常時雇用労働者に含まれます。(昭和61年6月6日 基発第333号 ・ 昭和63年10月1日 基発第652号 通達) そして、定期健康診断やストレスチェックの実施義務は、派遣元が負います。ただし、障害者の雇用義務に関しては、派遣先企業における派遣社員の人は含みません。
10. おわりに
今回のニュースでは、従業員数 50 人以上になったとき、会社が新たに行わなければならない労働法令関連の義務について取り上げました。
今回のニュースでは、従業員数 50 人以上になったとき、会社が新たに行わなければならない労働法令関連の義務について取り上げました。
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以上