静岡県で外資系企業のサテライトオフィス誘致を担当している川島と申します。
このたび、ご縁があり、このニュースレターを執筆することになりました。
静岡県を知っていただき、ぜひ静岡県への進出をご検討いただければと思っています。
静岡県について
まずは簡単に、静岡県の概要をご紹介します。
静岡県は東京と名古屋の間に位置しています。県外の方からは、よく「通過したことはあるけど、滞在したことはない」と言われますが、東京・名古屋からは新幹線で約1時間、大阪からは約2時間とアクセスが良い場所です。
静岡といえばなんといっても富士山です!富士山はUNESCOの世界文化遺産に登録されており、昨年登録10周年を迎えました。先日、7月10日に山開きがあり、今年の登山シーズンが始まったところです。静岡県側には“富士宮ルート”、“御殿場ルート”、“須走ルート”の3つの登山道があり、昨年は約9万人の方が利用されました(環境省「2023年夏期の富士山登山者数について(詳細版)」)。
気候
一年を通して温暖な気候で、山間部以外雪はほとんど降りません。私は生まれも育ちも静岡県ですが、覚えている限り雪が積もったのは1回きりでした。雪が降らないので、山肌から雪が風に乗って舞ってくるだけでも、子どもは大はしゃぎです。
食
静岡県といえば、緑茶、桜エビ、カツオや金目鯛が全国的に有名です。県内を訪問いただくと、西部から東部にかけて様々な場所に茶畑が広がっている様子をご覧いただけますし、焼津、清水、沼津などの魚市場は新鮮な魚や寿司を求める方で年中賑わっています。他にも、静岡県はわさび栽培発祥の地としても知られており、産出額は国内シェアの3/4を占めています。
ご当地グルメは富士宮やきそば、静岡おでんや浜松餃子などが有名です。
アクティビティ
静岡県は海と山に囲まれ、様々なアクティビティを体験することができます。登山、サイクリングやマリンスポーツなどのアウトドアスポーツ、茶摘み体験、呈茶体験や果物狩りなど多岐にわたります。
特に静岡県は温泉が有名で、温泉宿の数が日本一多いです。私は伊豆半島南部の下田市に住んでいたことがあるのですが、伊豆半島はまちごとに異なる温泉地があり、それぞれに雰囲気も違って、ひとつひとつ巡るのがとても楽しかった思い出があります。
産業
豊かな自然に加えて、静岡県は大都市圏をつなぐ交通の要衝として発展してきました。「ものづくり」が盛んで、県内生産額の約4割を製造業が占めています。
静岡県は大きく東部、中部、西部で主要産業が異なっており、東部地域は電気機械、製紙、医薬品の生産が盛んです。特に医薬品・医療機器の生産額は国内1位を誇ります。中部地域は水産加工品やプラモデル、家具の生産が、西部地域は楽器やオートバイ、自動車の産業が盛んです。
いずれの産業においても、今後のさらなる発展に向けてはICTなどの先進技術の活用が必要不可欠です。しかしながら、静岡県が過去に実施したアンケート結果によりますと、ICT人材を確保しIoTやAIを活用している企業は限定的です(静岡県「ふじのくにICT人材確保・育成戦略」)。ICT関係企業には大きなビジネスチャンスが眠っている県といえます。
また、静岡県はテストマーケティングに適した土地といわれています。年収や年齢構成が日本全体と似ているとか、東日本と西日本の文化の接点で混在しているとか、いろいろな理由があるようです。
補助金
さて、今回の御紹介の本題となりますが、静岡県では、ICT関係企業のオフィス誘致のため、進出経費に対して最大2,180万円を補助しています。
補助金のメニューは2種類、「ICT・サービス関連企業進出事業」と「高度ICT人材確保事業」です。
各メニューの詳細はHPを御覧いただければと思いますが、概要は以下のとおりです。
ICT・サービス関連企業進出事業
まず「ICT・サービス関連企業進出事業」は、県内に新たな事務所を開設する県外のICT・サービス関連企業を対象とした補助制度です。こちらは、要件を満たすことにより、最長1年間、事務所賃借料、通信料、改修費について最大510万円の補助を受けることができます。
補助対象者
・県内に新たに設置した事業所において、ICT・サービス関連業(※)を行う企業
※ICT・サービス関連業とは、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、デザイン業、広告業、経営コンサルタント業、職業紹介業などです。詳細はお問い合わせください。
補助条件
補助条件は以下のとおりです。
① 交付申請時点で、県内に事業所を持たないこと
東京にオフィスを持っていてセカンドオフィスをという企業様も、日本進出一ヶ所目としてという企業様も歓迎しております。
② 県内にてICT・サービス関連業を1年以上行う計画があること
③ 常勤の役員または被雇用者を1人以上配置すること
高度ICT人材確保事業
続いて「高度ICT人材確保事業」です。こちらは、ICT人材の確保のため、新たに県内にICT関連事業所を開設する企業を対象とした補助制度です。要件を満たすことにより、最長3年間、事務所賃借料、通信料、改修費に加え、人件費の一部について、最大2,180万円の補助を受けることができます。
補助対象者
・県内に新たに設置した事業所において、高度ICT技術者を配置し、ICT活用サービス業等を行う企業
こちらの補助金は、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、インターネット付随サービス業などのICTを活用したサービスを提供する事業者のみ対象です。
補助条件
補助条件は以下のとおりです。
① 県内でICT活用サービス業を継続的に3年以上行う計画があること
② 高度な知識及び技術を有するICT技術者(※)を配置すること
※高度情報処理技術者試験合格者等、高度な技術を有する者のこと
なぜICT関係事業者に特化した補助金を
なぜ静岡県はICT関係企業に特化した補助金を用意しているのか。その理由は、静岡県内に情報通信技術者が少ないことにあります。
令和3年経済センサス活動調査によると、全産業に対する情報通信業の従事者割合は、全国で3.18%であるのに対し、静岡県は1.11%です。先述したアンケートにおいても、従業員500人未満の企業において特に「ICT人材の必要性は分かっているが、確保できていない」と回答した企業が多く、ICT人材の不足が課題となっています。
また、東京一極集中といわれる昨今、静岡県に住む人を増やすためには、ICT人材に多いテレワークが可能な方々に静岡県を選んでいただくことや、若者にとって就業先として魅力的な企業を集積してU・Iターンを促進していく必要性を感じているところです。
いきなり大規模なオフィスの設置を、というのはなかなか難しいので、まずはサテライトオフィス等小規模オフィスで進出いただき、静岡県の魅力を存分に感じていただいてから拡大していくことを想定し、サテライトオフィスの誘致に力を入れております。
結びに
本補助金は、県内市町が実施する補助金と併用が可能な場合があります。進出先市町によっては、補助金をあわせて活用することで事務所進出経費を大幅に抑えることができます。
静岡県に進出いただく際は、進出先市町とも連携し、アレンジメントをいたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。
なお、静岡県は、アークアウトソーシング株式会社様に、令和6年度外資系企業サテライトオフィス誘致コーディネーター(企業相談コーディネーター)を委嘱しています。これは、県内へのサテライトオフィスの設置を検討されている外資系企業の方々が、相談のために静岡県の担当者と面談される際に、相談内容に応じた専門家(主に会計・税務・会社登記等の手続面)を派遣していただくものです。英語による相談も可能で、面談への専門家派遣にかかる費用は静岡県が負担します(面談への専門家派遣の範囲を超え、アークアウトソーシング株式会社様に具体的な業務を依頼する場合などは、費用をご負担いただく場合があります。)。ご関心のある外資系企業の方々は、静岡県地域外交課までお問い合わせください。
担当者:川島実紗
連絡先:kokusai@pref.shizuoka.lg.jp