1. はじめに
今月は、令和6年度の税制改正において、消費税における国外事業者(非居住者である事業者又は外国法人)に係る免税事業者の判定が厳格になった改正についてご紹介させていただきます。今回紹介する改正は、令和6年10月1日以降に開始する課税期間から適用されるため、改正後、免税事業者だった国外事業者について、課税事業者となる場合があるため、注意が必要となります。
2. 改正された背景
原則、消費税は国内で課税取引が発生する際、国内事業者も国外事業者も等しく納税することが基本になります。しかしながら、現行の税制のもとでは、国外事業者や新設日本子会社等が免税事業者と判定されやすい状況でした。今回の改正は、国内事業者の海外子会社、外国法人及び外国法人の日本子会社において、大きな影響が発生してきます。
3. 基準期間のない新設法人にかかる改正
① 基準期間を有する外国法人であっても、新たに国内で事業を開始する場合には、基準期間はなかったものとみなして、新設法人の納税義務の免除の特例、特定新規設立法人の納税義務の免除の特例を適用する。
② 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例において、支配者に係る従来の要件(課税売上高が5億円超)に追加して、総収入金額(国外におけるものも含める)が50億円超である場合も特例対象とする。
4. 特定期間の判定にかかる改正
国外事業者は特定期間の課税売上高に代えて給与支払額を判定に使用することはできない。
5. おわりに
今回は、令和6年度の税制改正において、消費税における国外事業者に係る免税事業者の判定が厳格になった改正についてご紹介させていただきました。なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。ご不明な点等ございましたら、お気軽に下記URLのお問い合わせよりご相談下さいませ。
(参考文献)
総務省 令和6年度税制改正の大綱 70ページより
国税庁 消費税法等改正のお知らせ