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2023.05.31

IFRSとJGAAPの違い - 機能通貨について

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1. はじめに
今回は久々のIFRSに関連する記事になります。その中でも外貨換算の取り扱いについてIFRSとJGAAPの違いの一つである機能通貨についてご紹介していきたいと思います。


2. 機能通貨とは:
 機能通貨(Functional currency)とは、「企業が活動する主たる経済環境の通貨」をいいます。企業の活動を測定する基準となる通貨であるため、どの通貨によって最も業績が反映されるかを主に決定します。機能通貨の決定手続きは、JGAAPを適応している企業にはあまりなじみが無いかと思いますが、IFRSとJGAAPでの大きな違いの一つになります。


3. 外貨建取引:
 IFRSではこの機能通貨を基準に機能通貨以外の通貨での取引を外貨建取引として扱います。JGAAPでは円建て取引以外を外貨建取引として認識することが基本となるため、取り扱いに違いが発生しています。


4. 機能通貨の取り扱い例(米ドルを機能通貨として採用した場合):
米国本社が日本及び韓国に子会社を有する例において、各社ともに  機能通貨として米ドルを採用している場合、米ドル建ての取引に関しては各社ともに、為替差損益は発生しません。この場合、日本企業が国内において、日本円で取引をしている状況であっても、為替差損益が生じるという一見奇妙な処理となります。 しかしながら、近年進んでいるグローバル化により日本にいながら海外の企業との取引がメインとなっている企業においては、日本円以外の通貨を機能通貨として採用している企業もみられます。
  
 また、機能通貨の決定は、取引実態などを考慮しておこなわれるため、必ずしも親会社と子会社の機能通貨が同じとなるわけではなく、連結財務諸表上の表示通貨は同じでも、親会社と子会社で機能通貨が違うということもあり得るという点に留意が必要です。
 

5. おわりに
 基本的に日本のみで適用されることが想定されているJGAAPと異なり、世界各国での適用が想定されているIFRSについては、どの通貨で取引を記帳し報告するのかということも重要なポイントとなり、このような違いが生まれたといえそうです。なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。

(参考資料)