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2023.02.28

RSUと確定申告

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1. はじめに

令和4年分の所得税等の確定申告が、2月16日より始まりました。外資系企業に勤務する方が、現金で受け取る給与のほかに、ストックオプション、RSU等をインセンティブ報酬として受け取る場合には、確定申告が必要な場合がございます。今回は、株式報酬制度の中から、外国親会社からRSUを付与された場合に必要となる確定申告についてご紹介いたします。


2. RSUとは

RSUは、Restricted Stock Unitの略であり、日本語では「譲渡制限付き株式ユニット」と訳されます。会社の株式を役員、従業員に直接付与する株式報酬制度の一種で、一定期間の勤務の後、譲渡制限が解除され、株式を取得することができる権利が付与されます。


3. RSUに関する確定申告

外国親会社からRSUを付与された場合には、以下の段階に応じて、確定申告をすることにより、所得税等の税金を払う必要があります。

(1) 権利付与時 (Grant)
権利付与時には、経済的利益は発生していないので、確定申告は不要です。
(2) 制限解除時 (Vest)
      一定期間の勤務の後、RSUの譲渡制限が解除された日に、その時点の株式の時価に対し給与所得課税され、日本の子会社から支給された給与と合算して、確定申告する必要があります。 
(3) 株式売却時 (Sell)
株式を売却した場合には、譲渡所得(譲渡金額 - 取得価額)につき、確定申告する必要があります。なお、海外の金融業者を通じた外国上場株式の譲渡損益は、国内上場株式の譲渡損益との所得内損益通算は認められますが、譲渡損失の場合は、配当所得との損益通算ならびに翌年以降への繰越控除は認められません。

また、株式を保有している期間に配当を受け取った場合には、配当所得につき確定申告する必要があります。配当所得や譲渡所得につき、外国の源泉税が引かれている場合には、外国税額控除が可能です。


4. おわりに

今回は、「RSUと確定申告」について、ご紹介いたしました。外国親会社からのインセンティブ報酬に係る給与所得等を申告していない場合、または過少申告してしまった場合には、ペナルティが発生することがございますので、ご注意ください。
なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。


(参考文献)
国税庁
No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除