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2022.07.31

インボイス制度の概要

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1. はじめに

令和5年10月1日より、消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度)が導入されます。消費税の仕入税額控除は、諸外国においてすでにインボイス制度が標準となっております。日本においても、令和元年の複数税率の導入に伴い、適正な仕入税額控除を計算するために、インボイス制度がスタートします。今回は、インボイス制度における主要なポイントをご説明します。


2. インボイス制度の概要

インボイス制度は、事業者登録を基礎とする仕入税額控除の仕組みです。インボイス制度では、買手が、消費税の申告において、仕入税額控除の適用を受けるためには、帳簿のほか、売手から交付を受けた「適格請求書」等の保存が必要となります。「適格請求書」とは、適用税率、消費税額等の必要情報を記載した請求書をいいます。


3. 適格請求書の記載事項

インボイス制度における適格請求書とは、所定の事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類をいいますが、様式の定めはありません。適格請求書には、軽減税率適用後の現在の区分記載請求書に、以下の事項が追加されます。

 ① 適格請求書発行事業者の登録番号 
 ② 適用税率 
 ③ 税率ごとに区分した消費税額等


4. 売手と買手の留意点

インボイス制度においては、経済取引に係る売手と買手の双方に、以下の留意点がございます。

(1) 売手の留意点
  
適格請求書発行事業者として登録した場合には、原則として、取引の相手方に、適格請求書等を交付して、その写しを保存する義務があります。

(2)   買手の留意点

 一定の事項を記載した帳簿と適格請求書等の保存が、仕入税額控除の要件となります。また、適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者または登録をしていない課税事業者)からの課税仕入れは、原則として仕入税額控除ができませんが、経過措置として、以下の割合で仕入税額控除が認められます。
 
    ①令和5年10月1日から令和8年9月30日 80%控除可能
    ②令和8年10月1日から令和11年9月30日  50%控除可能
    ③令和11年10月1日以降          控除不可


5. 適格請求書発行事業者の登録申請手続

適格請求書発行事業者になる(登録を受ける)ためには登録申請手続が必要です。課税事業者においても、登録を受けなければ、適格請求書を交付することができません。インボイス制度がスタートする令和5年10月1日に登録を受けようとする事業者は、原則として、令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。審査を経て登録が完了しますと、登録番号が通知されて、国税庁のホームページで公表されます。なお登録を受けるか否かは事業者の任意ですので、事業形態や取引の相手先により、判断する必要があります。


6. 免税事業者の登録 
  
経過措置として、免税事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間においては、「課税事業者選択届出書」を提出することなく、登録申請書の提出により、適格請求書発行事業者である課税事業者になることができます。この場合、登録日から課税事業者として、消費税の申告をする必要があります。なお、登録を受けた日が令和5年10月1日の属する課税期間中である場合を除いて、登録した日の属する課税期間から2年間は原則として免税事業者となることができませんので、ご留意ください。


7. おわりに

今回は、消費税のインボイス制度の概要について取り上げました。インボイス制度の開始に備えて、まず事業形態や取引関係者を勘案し、登録申請書の提出の要否等の検討が必要です。また、適格請求書発行事業者として登録した場合には、請求書発行のシステムの改修等の対応も必要になります。弊社は、登録手続き及びシステム導入のご相談を含めて、総合的にサポートさせていただきます。

なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。


(参考資料)
国税庁 「消費税の仕入れ税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」

国税庁「消費税法改正のお知らせ」


(令和4年7月23日アクセス)